新型コロナウイルスPCR検査が増えない理由の一つとして、
検体採取時の飛沫感染リスクのため検査を受けられる場所が限られる点があげられます。
しかし、唾液を用いたPCR検査は飛沫感染リスクがなく、
鼻咽頭粘膜ぬぐい液と同等以上の感度がありますので、
アメリカでは唾液を用いたPCR検査が進められています。
国内でも、唾液を用いたPCR検査が早ければ5月中にも認可される模様です。
一方で、鼻咽頭スワブでの新型コロナウイルス抗原検査が保険適応になることが決まりました。
検査時間の短縮というメリットはありますが、感度はPCRよりも劣ります。
PCR検査との陽性一致率は80%~90%で、ウイルス量が多いほど一致率が高いという結果でした。
これからは、迅速キットで鼻咽頭スワブでの抗原を検査することにより、院内でインフルエンザと新型コロナウイルスの両方に対する感染の有無が分かるようになるわけです。
しかし、いずれも鼻に綿棒をつっこむ検査ですので、検査する側の感染のリスクは変わりません。
唾液での抗原検査が可能になって初めて一般のクリニックでも感染の恐れなく迅速検査が可能になるのです。
インフルエンザ抗原の検査は一般に鼻咽頭スワブで行われていますが、唾液でも検出されます。
韓国からの報告では、鼻咽頭スワブと唾液のA型インフルエンザ抗原の感度を比較したところところ、最も成績が良かったキットで、鼻咽頭スワブ75%、唾液59%で、唾液検査の感度は有意に低率でした(図1)。
日本国内のキットでは、鼻粘膜で95%以上の 感度です。
新型コロナウイルスに関しても、唾液での抗原検査が可能かどうか、感度を調べる必要があります。
インフルエンザ検査で用いられているのドライケム(Fujifilm)の手法を用いれば、
唾液抗原検査の感度を上げることができるのではないかと考えています。
世界が頭脳が結集して新型インフルエンザと戦っています。
今年の冬までに、図2のような検査体制になればいいなと期待しています。